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IAS 第29号 超インフレ経済下における財務報告
超インフレ会計の適用国は…
今週の経営財務(No.3567)にて、「IFRSにおける超インフレ会計の趣旨と概要」という記事が掲載されています。
このような基準があることは知りつつも、実務においてその影響下にある人はあまり多くないのではないでしょうか。
大手会計ネットワークは2022年6月30日以後に終了する報告期間(四半期を含む)よりトルコをIFRSにおける超インフレ国に該当するという見解を公表した
これにより、2022年6月30日以後に超インフレ会計の対象国となるのは下記の11カ国となるようです。
該当基準 対象国 3年間の累積インフレ率が100%超 アルゼンチン イラン レバノン 南スーダン スーダン ベネズエラ ジンバブエ トルコ 3年間の予想累積インフレ率が100%超 スリナム イエメン シリア
これらの国に子会社があり会計上の重要性がある場合には、当該会計基準を適用する必要が生じます。記事の内容を詳らかに掲載するわけにもいかないので、具体的な対応については、是非、経営財務(No.3567)を参照して頂きたい(経営財務の回し者ではないのでご心配なく)。
超インフレ会計の基準の趣旨
とはいえ、せめて超インフレ会計の趣旨くらいは掲載しておきたいと思います。
例えば、150円で仕入れたものを200円で販売し50円の利益を得るのが通常のビジネスモデルである企業が、インフレの影響により売価のみ1,000円となった場合、850円の利益を得ることとなります。
しかし、この利益額は企業努力によるものではなくインフレの影響によるものであることから、企業間比較や期間比較の比較可能性を貶めることとなりますので、これを補正して開示しよう、というのが、この超インフレ会計となるわけです。
最近では日本でもいよいよインフレが騒がれ始めました(日本がこの会計基準の適用対象となることはないと思われますが。)が、今後も世界的なインフレの影響で対象となる国が増加する可能性もあります。この機会に概要だけでも抑えておいて損はなさそうです。
※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。
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