会計のこと

サステナビリティ情報の開示必須へ

サステナビリティ情報の開示必須へ

サステナビリティに関する企業の取組みの開示

金融庁が2022年11月7日に公表した「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案を公表しました。非財務情報の開示の拡充を目的として、有価証券報告書へのサステナビリティ情報の「記載欄」の新設が盛り込まれました。

 

 

サステナビリティ全般に関する開示

具体的には、サステナビリティ全般に関する開示として「第二部 第2【事業の状況】」の中に「サステナビリティに関する考え方及び取組」という形で記載することが求められます。

記載事項は、①「ガバナンス」、②「リスク管理」、③「戦略」、④「指標及び目標」の4つです。当該4項目はTCFDが提言する4つの柱と一致しますので、国際的な潮流を汲むものであることがわかります。

①「ガバナンス」及び②「リスク管理」については、必須記載事項とされ、③「戦略」及び④「指標及び目標」については、重要性に応じて記載を求めることとされています。

サステナビリティ情報の「記載欄」

項目 内容 必要性
①「ガバナンス」 サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、及び管理するためのガバナンスの 過程、統制及び手続 必須記載事項
②「リスク管理」 サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、 評価し、及び管理するための過程 必須記載事項
③「戦略」 短期、中期及び長期にわたり連結会社の経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組 重要性に応じて記載
④「指標及び目標」 サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する連結会社の実績を長期的に評価し、管理し、及び監視するために用いられる情報 重要性に応じて記載

③「戦略」④「指標及び目標」については記載は必須ではありませんが、各企業が重要性を判断した上で記載しないこととした場合でも、当該判断やその根拠の開示が期待されます(「期待」という表現がなんともも曖昧な印象ですが・・・)。

 

人的資本、多様性に関する開示

なお、③「戦略」及び④「指標及び目標」については、重要性に応じて記載することとされていますが、人的資本(人材の多様性を含む)に関しては下記の内容が必須の記載事項となっています。

戦略(a) 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針(例えば、人材の採用及び維持並びに従業員の安全及び健康に関する方針等)を戦略において記載すること
指標及び目標(b) ⒜で記載した方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績を指標及び目標において記載すること。

このほか、女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表している会社及びその連結子会社に対して、これらの指標を有価証券報告書等においても記載を求めることとされています。具体的には、有価証券報告書の「【従業員の状況】」に記載することとなります。

 

最後に

サステナビリティに関する開示については将来情報が含まれることになり、将来時点での実態と乖離するリスクがあるため、この責任について気になるところですが、

将来情報に関する経営者の認識及びその前提となる事実や仮定等について合理的な記載がされる場合や、将来情報について社内で適切な検討を経た上で、その旨が、検討された事実や仮定等とともに記載されている場合には、記載した将来情報と実際の結果が異なる場合でも、直ちに虚偽記載の責任を負うものではないことを明確にすることとします

というように明記されています。

 

とはいえ無責任な情報を記載するわけにもいかないですし、慎重な対応が求められるのは言うまでもありません。一方で今後ますます重要視されるであろうサステナビリティに関する情報を(司法上の)悪意を以って利用するようなケースも出てくるかもしれません。その場合に、責任の所在を問うことが非常に難しくなるようにも思えますが、どうなるでしょうか。



※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。 



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