仕事のこと

とりあえずやってみる、は状況次第

@自宅近くのスターバックス

とりあえずやってみる、は状況次第

とりあえずやってみる、ということについて考えてみたいと思います。

とりあえずやってみる!と言うのは非常に大事ですが、計画性も同じくらい大事だという話です。
計画性のないプランで人を巻き込むと色んな人が不幸になるので、それを未然に防ぎたいと言う思いで書きました。

とりあえずやってみる、を一事が万事として捉えすぎると危険に陥ることがあるということを認識すべきだ、というのが今回の内容です。

「とりあえずやってみること」の重要性

りあえずやってみよう!という言葉は最近色んなとこで目につきますよね。

 

成功者たちは口を揃えてチャレンジすることの重要性を説いています。

 

私も同感です。

 

とりあえずやってみる。やってみる事で見えてくる事がたくさんあるからです。

 

そして実際にやってみて、その結果失敗してしまったところで取り返しのつかない事はほとんどありません。

 

それすらもとりあえずやってみないとわからないことかもしれません。

 

でも、ほとんど、ですから、なんでもかんでもとりあえずやってみる、は時に危険なケースもあります。

 

まさにその状況判断こそが、各人の資質であり各組織の資質であると考えます。

 

とりあえずやってみる。が招く最悪のケース

まず最初に、どうやったって無理なスケジュールで推し進めることは、とりあえずやってみよう、とは違うことを認識する必要があります。

 

根性論で推し進める場合、たいていのケースで締め切りに間に合わない間に合わせるために想定とは違うことをする、あるいはなんとか終わらせたつもりが結局手戻りが発生する、等といった事態が起こります。

 

これはもう実体験から言って間違いないです。無理そうだな、と思ったことはたいていそうなります。

 

百歩譲って、根性論で推し進めた結果、及第点を取れる結果で落ち着けば良いのですが、それも高確率で成功を見通せるケースに限定すべきでしょう。

 

あるいは、単発のプロジェクトの最終段階ではそういったこともあり得るかもしれません。

 

ですが、経理業務やその他週次単位や月次単位で動く組織では命とりになりかねません

 

どういうことか見ていきましょう。

締め切りに間に合わない、手間取りが発生する事態になると、その後のスケジュールにまでしわ寄せがきます

 

そうするとなにが起こるか。

まず、当初やろうと思っていたことが後回しになります。手当しなければいけない事項がタスクとして残ってしまうためです。

その残タスクを終えたころに本来やるべきであった業務に手をつけるわけですが、当然少ない残り時間で終わらせることになります。

時間内に終わらせるために勢いで完了させるか、あるいは、たっぷり残業するか、でしょう。

 

「それで問題なく終わるならいいだろう」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、問題の本質は「根本的な問題に誰も取り組めなくなる」ことにあります。

 

とりあえずやってみる、で強行されたスケジュールで一見すべて回っているように見えますが、締め切りに間に合わない間に合わせるために想定とは違うことをする、あるいはなんとか終わらせたつもりが結局手戻りが発生する、という問題はどのように解決するのでしょうか?誰が解決するのでしょうか?

この問題が解決されなければ、いつまでたっても業務は改善されず、効率化もできず、残業も減りません。

 

その時にはそれぞれが自分のタスクで手一杯になってしまい、それどころじゃない状況になっているのではないでしょうか。

その結果、毎月毎月、エンドレスで死に物狂いになりながらなんとか今月も乗り切れた、というループができあがり、そのまま時は過ぎていくことになります。

こうなると最悪で、業務改善のための時間を捻出する余裕もなくなり、退職者が続き、十分な引継ぎもされず、退職が退職を呼ぶなんていう笑えない状況にすらなりえます。

 

増員やコンサル導入で解決できるか?

ある程度の資金的な余裕のある組織では、解決するために新たな人材を増員するか、あるいは、外部のコンサルに依頼することもあるかもしれません。

ですが、それで問題が解決されるとは限りません。なぜなら本質的な問題に取り組むのではなく、場当たり的な、表層的な解決策でなんとかしようとしてしまう可能性が高いからです(後述しますが、その方が「楽」だからです)。

したがって、最初の段階で安易に「とりあえずやってみる」という手段をとるのではなく、着手前に限られたリソース(時間・人員)でうまく回すことができるような枠組みを慎重に検討することが非常に重要です。

 

なぜ、とりあえずやってみてしまうのか

では続いて、なぜとりあえずやってみよう!という決断をしてしまうのかについて考えてみます。

 

まず「とりあえずやってみる」という手段は非常に魅力的です。

絵にかいた餅でも良いのであれば、それっぽいスケジュールを立て、関係者に通知し、一丸となって困難か壁に立ち向かっていく姿は立派なビジネスマンそのものです。

しかし、「それっぽいスケジュール」でうまくいかなくなる可能性が高いのは上述した通りです。

 

それでもなぜ人は「とりあえずやってみて」しまうのか。

それは「とりあえずやってみる」は考える必要がないからです。

 

考えることの重要性

日本では「考える、という仕事」の重要性が未だに低い気がしています。

海外で仕事をしたことがあるわけでないですが、そこらじゅうのメディアで言われていることです。

日本では過程が評価されている、というのは日本人であれば誰もが感じたことのあることでしょう。

欧米ではプロセスではなく結果が評価されるというのは人材の流動性が高い現実からして、偽りのない真実でしょう。

 

こういった日本の文化が悪い意味での「とりあえずやってみる」という意識を醸成してしまっています。

ガムシャラに困難に立ち向かう姿が美徳とされ、評価される文化そのものだと思います。

 

しかし、冒頭で記載した著名人がよく言う「とりあえずやってみる」はチャレンジ精神を奮起させるものですが、ここで言う「とりあえずやってみる」は思考の放棄に他なりません。

 

立場の違いから考えるとよりわかるでしょうか。

年次の低い大きな責任のない立場の人間は「とりあえずやってみる」の精神で色々なことにチャレンジし、1つでも多くの経験を得ることが非常に重要ですが、ある程度の責任を負うような立場となった人間に求められるものは、「とりあえずやってみる」の思考放棄ではなく、フィージビリティ(実行可能性)のあるプランを考えることです。

実行可能なプランの構築

私はサッカーの本田圭佑選手が凄く好きなのですが、彼は「準備がすべて」だといいます。

これはスポーツに限らずビジネスにおいても同じことだと思います。

準備不足の選手が試合中にどれだけ汗水たらして頑張っても結果が残せないのと同じで、ビジネスにおいても準備不足では成果はあがりません。

プロジェクトや作業に取り掛かる前に実行可能なプランを構築することに心血を注ぎましょう。

 

最後に

ここまで「とりあえずやってみる」ことの弊害について考えてきましたが、冒頭で述べた通り、私は「とりあえずやってみる」という考え方自体は非常に好きで、私自身「とりあえずやってみる」でここまで来た感じもしています。

チャレンジすることの重要性や私自身の「とりあえずやってみた」結果については、また別の機会にまとめてみたいと思います。

 

 



※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。 



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