会計のこと

住民税均等割のキャッシュ・フロー計算書上の表示科目

住民税均等割のキャッシュ・フロー計算書上の表示科目

法人住民税の均等割のキャッシュ・フロー計算書上の表示

かなり細かい論点ですが、住民税均等割のキャッシュ・フロー計算書、及び、損益計算書の表示について確認します。

 

ですが、その前におさらいです。

法人事業税の外形標準課税(付加価値割・資本割)のキャッシュ・フロー計算書上/損益計算書上の取扱い

キャッシュ・フロー計算書(及び損益計算書)上の法人税等には利益に連動して課されるものだけを計上し、利益に連動しない事業税の外形標準課税部分、すなわち、付加価値割資本割の支払額は法人税等の支払額には含みません(企業会計基準第 27 号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準 第8項 )。どこに表示されるかというと、付加価値割資本割部分は損益計算書上、原則、販管費に計上することとされています(表示科目は租税公課が一般的でしょう)。したがって、キャッシュ・フロー計算書上は税引前当期純利益に含まれており、未払分がある場合のみ債務計上額の増減で調整します。

ただし、利益に連動する/しないにかかわらず、未払い分の債務を計上する際には、未払法人税等の科目をもって計上する点には注意が必要です。

 

法人住民税の均等割のキャッシュ・フロー計算書上/損益計算書上の取扱い

ここで、本題の住民税均等割について話を戻します。

事業税の外形標準課税の取扱いを考えると、法人住民税の均等割も利益に連動しないで課されるものであるため、法人税等には計上せず、租税公課としたいところです。

しかし、実際には法人住民税の均等割は法人税等に計上することとされています(企業会計基準公開草案第 59 号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」に対するコメント )。その論拠は以下の通り記載されています。

「法人住民税の均等割部分が、外形標準課税であるということに関しては、異論がない。」「ただし、法人住民税均等割は、一般的に重要性が低いと考えられ、財務諸表等規則等においても区分が求められていない。現行の会計処理が実務上も定着化しており、今回、検討の対象としていない。」

企業会計基準公開草案第 59 号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」に対するコメント

ということで、まったく合理的ではないのですが、法人住民税は販管費ではなく法人税等で計上すべきであることとされたため、事業税の外形標準課税である付加価値割、資本割とは異なる取扱いとされてしまっています。

したがって、なんだか違和感を感じながらも住民税均等割は損益計算書上は法人税等に含めなければならないですし、それと整合する形でキャッシュ・フロー計算書上は法人税等の支払額に含めることとなります。

上記の引用部分にもある通り、法人住民税の均等割部分の金額は一般的な上場企業にとって重要性はないため、仮に誤った処理をしたところで監査上大きな問題になるとは思えませんが、法人住民税の均等割は損金不算入ですから、ここはしっかり押さえたうえで正確に処理しておきたいところです。

まとめ

繰り返しになりますが、法人事業税の付加価値割、資本割は、損益計算書上は租税公課で表示し、キャッシュ・フロー計算書上は法人税等の支払額に含めません

一方、法人住民税の均等割は損益計算書上は法人税等に含め、キャッシュ・フロー計算書上は法人税等の支払額に含めます

損益計算書 キャッシュ・フロー計算書
法人事業税の付加価値割、資本割 租税公課 法人税等の支払額に含めない
法人住民税の均等割 法人税、住民税及び事業税 法人税等の支払額に含める

 

まぎらわしいところですし、キャッシュ・フロー計算書は1年に2回しか公表することがないため忘れがちですが、しっかりおさえておきましょう。

※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。                                                   

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矢野譲公認会計士・税理士
公認会計士・税理士。 2018年開業、現在はコンサルと税務。行動と継続が座右の銘。趣味は映画と読書と音楽と麻雀と靴と時計。独立会計士の成功モデルを模索・構築中。更新頻度が著しく低いブログ(http://yano-cpa.com)書いてます。NCC通学。
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