会計のこと

IFRS第16号「リース」

 IFRS第16号「リース」

2016年1月にIASBによりリース会計基準IFRS第16号が公表され、国際会計基準において借手オペレーティング・リース処理は原則認められなくなり、すべてのリース取引がオンバランス処理されるように改訂されました。貸手の処理については変更はありません

適用については2019年1月1日以後に開始する事業年度からとなっており、IFRS15号(顧客との契約から生じる収益)を適用している場合に限り早期適用も認められています。この辺は、セールアンドリースバックとの絡みもあるためと思われます。

 

オペレーティング・リースは認められない

従来の会計基準ではファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類するかにより会計処理が異なるため、似たような取引なのに全く異なる会計処理が行われ、比較可能性が損なわれる点や、恣意的な会計処理が行われる恐れがある点が以前より指摘されていました。

当該改正はまさにこの問題に対応するためのものであり、これによりIFRSにおいては画一的な処理が求められることになります。

例外規定について

IFRS16においても日本基準と同様、例外規定は設けられていますが、内容が少し異なります。

IFRSの場合

<短期リース>

リース開始日におけるリース期間が12か月以内のリースで、購入オプションを含んだリースは短期リースに該当せず、判定は原資産毎と定められています。

<少額資産リース>

個々の原資産の絶対的な金額が少額なリースで、IASBの想定として5,000米ドル以下とされています。個々の原資産が少額であれば、たとえ対象取引の総額が借手にとって重要な金額であっても、オンバランス処理を求められることはありません。

 

日本の場合

日本の場合には、適用指針35号において

①重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、リース料総額が当該基準額以下のリース取引
②リース期間が1年以内のリース取引
③企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引で、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引

とされています。

 

実務的に考えたときに5,000米ドルと300万円はかなり大きな差となるのではないかと思います。約50万円以下のものであれば確かに少額として、賃貸借取引処理するのは妥当な気がしますが、300万円はそれなりに大きくて有用な資産まで許容してしまうため、より恣意的な処理を助長しているように思えます。日本も早くコンバージョンしてすべてファイナンス・リースにしてしまい、例外規定もIFRSレベルにするべきだと思っています。内部管理体制がかなり厳格に行われているような企業であれば、ファイナンスかオペレーティングかの判断を適切に行えていると思いますが、上場企業であってもこの判断を適切に行えてない企業や、そこまでの体力がない企業も多いでしょう。例外なくファイナンスとすれば、そこに余計な判断プロセスがなくなるので現場レベルでも管理レベルでも管理が容易になると個人的には思います。

 

 

実務上の注意点

注記

上述した、リースの例外規定について実務上注意すべき点があります。IFRS上の例外規定はあくまでオンバランスしなくて良いというだけであって、ファイナンスリースとして取り扱う必要がないということではありません。どういうことかと言うと、IFRS16号では短期リース、少額資産リースのいずれもその金額を注記する必要があります。

日本基準では、300万円以下のリースの場合、オペレーティングリースとして賃貸借処理すればそれで問題ありませんでしたが、IFRS16号では注記が必要になるためすべてのリースを集計し、例外規定のリースであっても金額を開示する必要があります

 

IFRS16号において一番ネックになるのは間違いなくリース資産の洗い出しであると思いますが、例外規定も含めて手を抜くことが許されません。ここはよくよく注意して取り組む必要があるところです。

 

重要性

また、IFRS16号の記載の内容と各社で採用している重要性の考え方は別のものと考えるべきでしょう。上述の対応は規模の如何にかかわらず同様の対応をとることが想定されますが、各社で採用される重要性について(例えば100万円以下は重要性がないためオンバランスしない。等)は各社の方針や監査法人の判断によって変わってくるものと思われます。会社の規模に対して、100万円のリース資産をオンバランス処理することのインパクトが小さければ、その判断も監査上問題になることはないようにも思いますが、該当の資産が10,000個あれば100億円になるので、要は実質的なインパクトを十分に考慮して対応することが求められそうです。

 

無形資産について

無形資産のリースについては、IFRS16.3にて以下の事項が対象外とされています。

IAS第38号「無形資産」の範囲に含まれる映画フィルム、ビデオ録画、演劇脚本、原稿、特許権及び著作権などのライセンス契約に基づく借手が保有する権利

IFRS16.3

そして、上記の対象以外の無形資産のリースについては、IFRS16を適用することができるとされており、強制的に要求されるものではないことが明記されています(IFRS16.4)。

 

 

【編集後記】

今これをカフェでうっていたのですが、となりでPC作業をしている方のタイピング音が大きくて非常に気になりました。笑 職場が固定席の場合にこういった方の隣になると非常に残念な気分になりそうなので、フリーデスクの職場はその観点から見ただけでも有用だなと今更ながら思いました(そのほかにも、デスク周りに私物や書類を積み重ねることができないから、整理整頓が進んだり、人から監視されてる感じを軽減できたりっていうメリットも)。

※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。 

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