会計のこと

【2021年】コーポレートガバナンス・コードの主な改訂点

コーポレートガバナンス・コードの主な改訂点

コーポレートガバナンス・コードの改訂

2021年6月、コーポレートガバナンス・コードが改訂されました。

2022年には東京証券取引所の再編が待っており、これに先立ってこれまでよりも各社が求められるガバナンスは厳しくなりますが、ここではどのような変化が加えられたのか、今回の主な改訂点を確認したいと思います。

 

① 議決権電子行使プラットフォームの強化

補充原則1-2④に下記の文言が追加され、2022年の東証再編に向けて特にプライム市場におけるガバナンスの強化が求められていることがうかがえます。オンラインの強化は、バーチャルオンリー株主総会が可能となった事などとも整合しており、今後ますます強化されていくものと思われます。

補充原則1-2④

特に、プライム市場上場会社は、少なくとも機関投資家向けに議決権電子行使プラットフォームを利用可能とすべきである。

 

② SDGs,TCFD,ESG等を含む、サステナビリティへの取り組み、及び、開示の強化

基本原則2の考え方が大幅に加筆され、SDGs,TCFD,ESG等に関する記述が充実されました。

これまでもESGという文言はありましたが、SDGsやTCFDの文言が追加され、こういった要素への取り組みがリスク管理のレベルから、経営課題へと認識を改めるべく補充原則(2-3①、等)への加筆修正も観られます。

 

またこの取り組みに関する開示の拡充・強化も求められています。サステナビリティへの取組みに関する開示として、補充原則3-1③が追加されました。

補充原則3-1③

上場会社は、上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。

 

③ 女性の活躍と多様性

女性の活躍と多様性についてはこれでも原則としての記載がありましたが、以下の補充原則2-4①が追加されました。

補充原則2-4①

上場会社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示すべきである。

 また、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示すべきである。

 

日本においてはいささか「女性活躍」ばかりに照準を絞りすぎているきらいがあり、むしろ多様性の確保にも同じレベルで取り組むべきと感じます(単純に女性の割合を増やせば良い、となりがちのため)。

しかし、いずれにしても日本の場合は世界的に類を見ない労働人口の減少を迎えるにあたっては、避けては通れない課題であり、経営課題と整合する原則と言えます。

 

④ 英文開示の拡充

補充原則3-1②に以下の文言が追加されました。

補充原則3-1②

特に、プライム市場上場会社は、開示書類のうち必要とされる情報について、英語での開示・提供を行うべきである。

日本企業の株主のうち、3割程度が外国人投資家であり、売買のシェアは6~7割が外国人投資家であると言われています。この状況を鑑みれば、英文開示が求められるのは当然と言えるでしょう。適正な株価を形成するためには一定の流動性が求められますが、そのためには外国人投資家に向けた情報開示は必須と言えます。

 

⑤ 独立社外取締役の増員と取締役会の多様性

今回の改訂の目玉ともいえる、独立社外取締役の増員に関する文言が加筆修正されました。

2022年に再編されるプライム市場では、独立社外取締役を現行の2名から少なくとも3分の1に、また支配株主が存する場合には過半数を選任するよう求めています。

2021年1月の日経記事では、独立社外取締役の登用状況は、3分の1以上選任している企業が東証1部全体では4割とあることから、残りの6割で独立社外取締役の増員が必要となる計算です。

 

以下、該当箇所となる原則4-8補充原則4-8③です。

原則4-8

独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、プライム市場上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも3分の1(その他の市場の上場会社においては2名)以上選任すべきである。また、上記にかかわらず、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環

境等を総合的に勘案して、過半数の独立社外取締役を選任することが必要と考えるプライム市場上場会社(その他の市場の上場会社においては少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社)は、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。

補充原則4-8③

支配株主を有する上場会社は、取締役会において支配株主からの独立性を有する独立社外取締役を少なくとも3分の1以上(プライム市場上場会社においては過半数)選任するか、または支配株主と少数株主との利益が相反する重要な

取引・行為について審議・検討を行う、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成された特別委員会を設置すべきである。

 

最後に

以上、主要な改訂点をご紹介しました。

上記の他にも、少数株主の利益保護のためのガバナンス強化リスク管理体制の強化、等に関する文言も追加されました。これらも含め総括してみると、全般的にグローバルなトレンドとして既に取り組んでいる企業も多いと思われる事項が明記されるかたちとなりました。とはいえ、日本企業のコーポレートガバナンス・コードの原則の遵守割合は非常に高いため、改定内容が盛り込まれたことは非常に意味のあることだと思います。

2019年12月時点の東証1部のCGCのコンプライ状況(東証HP資料参照)

 

※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。 

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