トルコ・リラの超インフレに関する調整
先日の経営財務2022年9月19日号(No.3572)で、
トルコ・リラで超インフレ調整した旨を上場17社が開示
という記事が掲載されていました。
本ブログでも先日以下の記事を掲載しましたが、今回6月30から9月14日までに開示された四半報においてIAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」の適用について開示した上場企業が17社あったとのことです。
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なお、この17社のうちIFRSを任意適用した会社が12社、5社が日本基準を採用している、とのこと(日本基準を採用している会社でも在土(在トルコ)子会社がある場合には改正実務対応報告第18号にしたがってIFRSに準拠した財務諸表を利用することになる)。
経営財務の紙面上では、日本ハムの2023年3月期第1四半期報告書の開示が紹介されていますが、ここでは他に京セラとダイドーグループホールディングスが掲載した開示を見てみたいと思います。
京セラ株式会社(第69期第1四半期)四半期報告書
京セラはIFRSを任意適用していますが、下記のような記載があります。具体的な調整内容の記載はないため、重要性はさほどないものと想定されます。
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ダイドーグループホールディングス株式会社(第48期第2四半期)四半期報告書
ダイドーグループは日本基準ですが、
海外飲料事業の現地会計はIFRS適用
の文言が四半期報告書内に記載されています。
調整内容については詳細が記載されており、参考にしやすいものとなっています。
まず、超インフレ調整が行われたことについては各所に記載があります。
【主要な経営指標等の推移】
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【事業等のリスク】
![](https://i0.wp.com/yano-cpa.com/wp-content/uploads/2022/09/ecc2000a5ccfffb1d425ee3bc11ab89b.png?resize=1024%2C187&ssl=1)
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
![](https://i0.wp.com/yano-cpa.com/wp-content/uploads/2022/09/c02018e377e6f2e9c09ad26ce58e1f96.png?resize=1024%2C483&ssl=1)
![](https://i0.wp.com/yano-cpa.com/wp-content/uploads/2022/09/06859c6a265bbe0ac7fe5694e81abe7c.png?resize=1024%2C329&ssl=1)
これですべてではなく、他にも固定資産の増減要因や純資産の増減要因においてもIAS第29号に関する記載がなされており、トルコ・リラの超インフレの影響の大きさが伺えます。
超インフレの調整方法について
上記2社では具体的な調整方法には言及がありませんでしたが、経営財務で紹介された日本ハム株式会社では触れていますので、最後に紹介したいと思います。
日本ハム株式会社(第78期第1四半期)四半期報告書
日本ハムでは、トルコ共和国が公表した消費者物価指数(CPI)(貸借対照表日毎)を変換係数として利用し、財務数値を算出していることがわかります。
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最後に
EDINETで「IAS第29号」を検索すれば該当の企業がわかりますので、他にも気になる企業があれば参照してみてください。
※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。