経理部門の持続可能性
決算標準化の重要性
みなさん、企業会計の6月号(2022年_vol.74)を読みましたか?
すでに7月号が発売されているタイミングではありますが、一読してみたところ、「経理部門の持続可能性を高める-決算業務標準化プロジェクト-」なる記事が掲載されていました。
下記のエントリーでも触れた『決算早期化の実務化マニュアル「経理の仕組み」で実現する/武田雄治著』が紹介されているのが目をひきます。
詳細についてはぜひ記事を読んでほしいところですが、以下4種類の資料を整備することで「決算業務の精度が劇的に向上した」とあります。
・勘定科目を網羅した「時系列分析資料」
・開示項目を網羅した「開示補助資料」
・全作成資料を一覧にした管理用の「リファレンスナンバー表」
・開示項目と各資料の関連を1対1で示した作業補助用の「マッピングシート」
この記事の筆者はとある銀行の主計室長ですが、とかく専門性が高いとされる経理部門において下記のいずれの要件を満たしていなかったと言います。
「長期継続勤務を経て部長内で昇格」
「かつて経理部門に所属」
「公認会計士等の高度な資格を保有」
だからこそ高度な専門性を持ち合わせていないものでも経理業務を可能とするという観点で「経理部門の持続可能性」を高めるために経理業務の標準化に着手されたそうです。この取り組みは非常に興味深く、また、素晴らしいものだと思います。
経理部門の持続可能性についての私見として、特定の担当者、あるいは部門全体にふりかかる負荷の大きさはこの問題において非常に由々しきものだと考えています。期末決算だけならいざ知らず、月次決算レベルで数日間にわたり深夜残業が常態化している会社をこれまで多く見てきた実感として、決算の早期化や標準化は待ったなしの問題に思えます。とても持続可能な状態とは言えません。
このような記事がきっかけとなり、多くの会社でこのした取り組みが進められること期待したいです。蛇足になりますが「決算業務の精度が劇的に向上した」という抽象的な結論にとどまらず、具体的な内容や業務時間にも触れて欲しかったなと思います。
※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。