サステナビリティ開示と保証業務について
2025年3月5日に日本のサステナビリティ情報開示の新たな基準としてサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が策定した基準が最終化されました。
サステナビリティ開示の対象と時期
現時点でサステナビリティに関する開示については「時価総額3兆円以上」の「プライム市場」の上場企業を対象とし、2027年3月期から開始するとされています。その後、1兆円以上、5000億円以上と適用範囲がを広げ、最終的には東証プライム上場全企業を対象とする考えとなっているようです。
ちなみに本記事執筆時点(2025.05.07)での時価総額3兆円超の企業は約70社となっています。とはいえ時価1兆円超程度の規模の企業であればまったく検討しないという選択肢はないでしょう。1兆円超の企業は約175社となっており影響はそれなりに大きそうです。
サステナビリティ開示への保証業務
サステナビリティ情報の保証業務(≒監査業務)の担い手については、本記事執筆時点で確定していませんが業務執行責任者(≒最終責任者)は公認会計士のみとなることが有力のようです。
これについて私はやむを得ない側面が強いと思いますが、会計監査業務に加えてサステナビリティ情報の保証業務まで公認会計士の独占業務とすることに一部反発が起こるのも理解できる気がします。
また、当然ながら公認会計士、監査法人の負担も相当なものになると思われますので、会計監査業務のクオリティにまで影響しないか、等の懸念も考えられます。
一方でサステナビリティ情報については会計情報との相関性もありますし、保証業務には高い専門性や倫理も求められるため、現時点で公認会計士以外に適用な人材はいないようにも思われます。将来的には独自の資格が設定される可能性もありますし、いずれにしても現段階から当該業務に深く携わることで得られる先行者利益は相当に大きいものになると思われます。
※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。