公認会計士の資格をとった人であれば誰もが一度は独立することを考えるのではないでしょうか?
ただし、考えた人が誰しも実際に独立するかというとそんなことはなく、むしろそのうちのほんの一握りの人だけしか独立しないようにも思います。
最近ふと思ったのは、独立するかどうかは仕事ができるかどうかは全然関係がないな、と。むしろ、生き方の問題だ。
独立するということは生き方の問題だ
最近「独立」する、ということについて、ある考えが頭をもたげました。
「独立という選択肢は能力には一切関係なく、生き方の問題だ」
ということです。
これまで色々な会計士の人と出会ってきましたが、監査法人に残っている人、転職した人、独立した人、様々ですが、そこに能力の優劣は関係ない、ということが実感としてあります。
長時間、クライアントのために必死に仕事をしている人もいれば、大学生のアルバイトか!っていうツッコミを入れたくなるような人も見てきました。
そんなわけで、どの選択肢を歩んでいくかはそれぞれの「生き方」、あるいは、「価値観」の問題である、というのが今私が思う結論です。
キャリアを選択する際に収入を判断材料にする人は多いと多いと思いますが、実際に独立したり転職したりして大金を稼いでいる人がいるにも関わらず、独立も転職もしない人はそもそも「独立」や「転職」という選択肢を選ぶ「生き方」や「価値観」をもっていない人だと思います。
一方、独立している会計士の多くは収入の過多にかかわらず、「独立」という選択肢を選ぶ「生き方」や「価値観」を持っている人だと思います。
「独立」という選択肢を選ぶ「生き方」や「価値観」は、必ずしも独立心が強い、というわけではなく、ゆる~く自分のペースで生きていきたくて独立する人、自分の中で優先順位を付けた結果としてたまたま独立という選択肢を選ぶ人、様々です。
繰り返しになりますがそこに能力の優劣は関係ありません。
また、お金をたくさん稼ぎたい、というのを最重要視して独立した、という人はあまりいないように思います。
私自身もそうで、まったく何1つツテがない状態で独立しましたが、当時はお金のことはほとんど気にしていませんでした(3年くらいはなんとか生活できればそれで良いと本気で思っていました)。
結果として、想定したよりは収入はありますが。
監査法人時代の会計士
監査法人に勤めていた時にも優秀な先輩や同僚はいましたし、そうでない会計士もいました。
その中で優秀な人だけが独立していったかというと全くそんなことはなく、独立していく人は(あるいは転職する人も)様々です。
そもそも何をもって「優秀」と判断するのか、その定義がはっきりしないことにも問題はありますが、監査法人で評価され出世頭になっている人が独立するか、というとそうではないという話で、独立後にうまくいくかどうか、もあまり比例しないように思います。
監査法人に残るタイプはおもに2通りいると思います。
1つは監査や監査法人で働くのが好きで、前向きに仕事に取り組んで結果を出していくタイプ。
もう1つは、監査という仕事にやりがいを感じているわけでもなく、かといって、監査法人を辞めることもできないタイプ。
人生において何を重要視するかなんていうことは、人それぞれですし、前者が良くて、後者が悪いなんて言うつもりもありません。
ただ、監査法人にいたときには完全に後者だった自分自身の経験として、辞めてよかったということだけはお伝えしておきたいなと思った次第です。
BIG4だけで数万人の公認会計士がいる中で、それこそ人それぞれ日々違うことを考えながら仕事をしているわけですが、モヤモヤしながら監査法人で働き続けている人に対して、こんな会計士もいるよ、っていうことを知ってもらえればいいな、という老婆心から書いた次第です。
最後に
最近でも相変わらず会計士が不足しているだとか、IPO準備会社が監査を受けられないだとか、AIが監査の仕事を奪うだとか、まことしやかに言われていますが、重要なことはそういった情報に惑わされずに自分の価値観や生き方、信念に従って生きていくことではないでしょうか。
twitter界隈では、数千人くらいフォロワーを抱えている会計士が色々語ったりしているのを見かけますが、ああいった情報もうのみにし過ぎない方がいいでしょう。
もちろん、ここに記載した情報も同様です。
結局人は自分が経験したことしか語れないですからね。
一番最悪なのは、何も考えずにただただなんとなく年ばかり重ねることだと思うので、時間に追われることなく、時には立ち止まって考えてみることも大切です。
※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。