国外転出時課税の現状と問題点
スタートアップの成長、拡大の障壁の1つに「国外転出時課税」が挙げられています。
以前メルカリのCEO山田進太郎さんのインタビュー記事でも目にしましたが、「国外転出時課税」がスタートアップの世界進出の障害になっている現状があります(たしかこちらの記事→メルカリ山田氏「海外進出促すベンチャー政策を」)。
国外転出時課税とは…
「国外転出時課税」とは、
国外転出をする時点で、1億円以上の対象資産を所有等している一定の居住者に対して、国外転出の時に、対象資産の譲渡等があったものとみなして、対象資産の含み益に対して所得税が課税される制度
国税庁HP参照
のことを言います。
これがなぜスタートアップの障害になるのか。
国外転出時課税の問題点
テック企業が世界規模で成功を収めるためには、当該企業のキープレイヤー(CEO等)が海外進出のための主要拠点となる欧米に直接移住する形を取る必要が往々にして存します。
この時に、会社の株式を保有しているCEO等は会社の時価総額が大きければ大きいほど、上述した「国外転出時課税」により多額の税金を課されることになってしまうため、これがスタートアップの成長を阻害しているとみる向きがあるわけです。
納税猶予の特例の問題点
この「国外転出時課税」には納税猶予の特例がありますが、担保に供する資産が非上場の株式の場合、株券を発行して担保に供する必要がありますが、このご時世株券を発行しているスタートアップ等皆無と言って良いでしょう。株券を発行するためには定款を変更する必要があり、さらには上場する際に再度株券不発行にする必要がある等手続きが煩雑ですし、そもそも納税猶予の特例を受けるためだけに株券を発行するというのはナンセンスです。
このような問題があり、これを解消すべく経産省が要望提出する等の働きかけが行われている所です。
今後の日本の経済成長の要として「web3.0」を当てられるかどうかは非常に重要なファクターですから、官民一体となって盛り上がりをみせられるよう推進して欲しいと思います。
※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。