公認会計士試験を短期間で突破するためのコツについてまとめました。
当時(2012年合格)と現在では試験をとりまく環境も変わってきているようなので、一概に当時の体験に基づいた知見を当てはめるのは合理的でない、と見る考えもあるかもしれません。
しかし、根本的な部分については変わりがないはずです。
公認会計士試験に限らず、あらゆる勉強にも当てはめることができる普遍的なものであると思っています。
タイムスケジュール
まず私の公認会計士試験を受験した際のタイムスケジュールをお伝えします。
2011年1月 本格的に勉強開始(この時点で簿記1級,2級ともに不合格。1級はもう少しで受かりそうなくらいではありましたが、2級の方が点数が低く、根本的な理解が不足していた)
2011年6月 日商簿記1級合格
2011年12月 1回目の短答式試験 不合格(合格ライン70%、自己採点で約67%)
2012年5月 2回目の短答式試験 合格(合格ライン67%,自己採点で約73%)
2012年8月 論文式試験受験
2012年11月 論文式試験合格発表 合格 合格者約1,250人中345位
ちなみに勉強時間ですが、9,10時には予備校(大原池袋校)に行って、21,22時に帰るという毎日でした。確か日曜日は夕方までしか居られなかったのと、勉強開始後しばらくは、アルバイトをしたりもしていたので必ずしもこの時間通りではありませんでした。
が、だいたいこんな毎日でした。
また朝から夜まで予備校にいましたが、受験仲間と雑談したりする時間もあったので、「絵にかいたようなガリ勉君」みたいな受験生活ではなかったと思っています。
それでも完全にオフな日を作るのは怖くてできませんでした。せっかく覚えたことを忘れてしまうんじゃないか、と思って。
冗談抜きで365日中365日、勉強してたような気がします。
根本的な勉強時間は足りているか?
なので「勉強しているけど全然伸びない」っていう人は、もしかしたら勉強時間が足りていない可能性があります。
勉強時間が絶対的な物差しにはなりませんが、周りの合格者も、私と同じかそれ以上に勉強している人がほとんどでした。
朝自習室に行くと既にほとんどの人が先に来て勉強していて、家が近いのに最後に登校してくるバツの悪さを感じていたことは今でも覚えています。
また、短期合格を目指しているあなたのライバルはほとんどがあなたより1年以上勉強している期間が長いです。
効率よく、効果的に勉強することは大事ですが、短期間に集中して勉強時間を増やすことも必要だ、というのは覚えておいた方がいいでしょう。
12月短答不合格と伸び悩み
今振り返っても、12月の短答での不合格は相当堪えました。
勉強開始して1年程度でしたが心のどこかで「なんとかなるっしょ」的な気持ちがありました。
それだけの努力もしていたつもりでした。
ただ、この頃は伸び悩んだ時期でもありました。入門生(初受験組)の中ではそれなりに上位にいたのはずですが、上級生(受験経験者)と比べると全然歯が立たず、その差はかなり大きかったのも事実です。
「なんであんな難しい問題解けるんだ」って悔しい思いをしたのを覚えています。
単純に1年、2年勉強期間が違うので当たり前といえば当たり前なのですが、試験本番はそういった上級生たちと戦って勝たないと合格できない、という焦りは大きかったと記憶しています。
良くない・伸びない勉強法
この時の自分の主な勉強方法は、決められた講義を受けつつ、それ以外の時間で答案練習を繰り返し解く、というスタイルでした(一度解いた問題を何度も解くスタイル)。
経験者ならわかると思うのですが、同じ問題を時間を何度かやっても、少し時間が空くと満点取れないことが普通にあります。
なので、できるだけ問題を解いて知識やスキルを積み上げていく、という勉強方法をとっていました(当然、その間に講義があったり、新規の答練はあったりします)。
おそらく、成績が伸びない・短答を突破できない、という人にはこのスタイルで勉強している人が多いのではないでしょうか。
私が見た限り、この方法で勉強している人はかなり多かったです。
そんな中、1回目の短答式が不合格となり、これはヤバイ、と思いました。
チャンスはあと1回。
その時既に26歳でしたから、もう1年ビハインドをとるなんて絶対嫌だと思ってました。
なんとか合格しないと、というプレッシャーに押し潰されそうになりました。
ターニングポイント
そんな時にある受講生と出会います。
その人は答練の上位成績者リストの常連で、しかもその中でもさらに上位。
悔しさを抱きつつも、どんな風に勉強をしたらそんなにできるようになるのか、と気になって仕方ありません。
しかも彼は誰かとつるむこともせず一人で黙々と勉強をしています。
しかし、背に腹はかえられません。
勉強の秘訣を聞きました。
すると親切な彼は教えてくれました。
「テキスト読んでるくらいですかね。答練?いや1回やって復習したら、もうあんまりやらないですよ」
これは衝撃でした。
にわかには信じられません。
これを読んだ受験生のあなたもそうではないでしょうか?
「テキストを読む?そんな当たり前のことであの成績をとれるのか?いーや、そんなわけない。絶対秘密があるはずだ!」
と思いませんでしたか?
…ところが本当に秘密なんてありませんでした。
彼を見ていると、本当にテキストを読むことを中心に勉強しているだけなのでした。
仕事にしても、勉強にしても、デキル人から得られる情報の価値たるや計り知れません。
こうして私の勉強方法は大きくシフトしました。
それが2012年2月頃だったと思います。
短期合格のコツはテキストをしっかり読み込む
これまでの問題を繰り返し解くスタイルからとにかくテキストをしっかり読み込むスタイル。
そんな当たり前のことを、と思うかもしれませんが、想像以上にこれができている人はいません。
計算にしても理論にしても、答練の問題や問題集を繰り返し解いて身に着けようとしている人が多かったですし、今でもそのスタイルで勉強している人が多いはずです。
では、なぜテキストを深く読み込むことが重要なのでしょうか。
試験本番では見たことのある問題は出てこない
それは、試験本番において、(そのほとんどが)見たことのない問題だからです。
そこで試されるのは基礎的な知識から、見たことのない問題に対して少しだけ頭を働かせて応用する対応力です。
そのため、テキストに書かれている基礎的な知識や計算方法をすべて頭に入れる方がよっぽど有用性の高い勉強方法になります。
成績がしっかり伸びていかない人は、ここがおろそかになっているはずです。
厳しい言い方になりますが、基礎ができてもいないのに、応用問題をいくら解いてもほとんど意味がありません。
よくあるパターンは(というか昔の私は)講義の際に、講義中にマーカーを引いたところしか読まずに、しっかり読むこむことを蔑ろにしていました。
しかし、テキストは非常に良くできていて、試験範囲をしっかり網羅しています(上述しましたが私は大原でした)。
マーカーを引いたところだけでなく、端から端まですべて読み込んでください。
すべてが重要な情報になっています。
勉強方法をシフトし、成績向上
こうして勉強方法をシフトしていったところ、成績の向上に結びつき始めます。理論問題でも計算問題でも。
どんなに難しい問題も、理論にしろ計算にしろ、基礎的な知識の応用でしかありません。
基礎的な理解がしっかりしていれば、それを少し応用するだけで格段に成績は伸びていきます。
また理論と計算は表裏一体なので、両者をバランスよく勉強し基礎をしっかり積み上げることで、ふたつが頭の中でリンクし始め、これもまた成績の向上に結びつきます。
計算問題で圧倒的に差をつける
時々勉強していると、計算は苦手だから理論でなんとかしようとして丸暗記に走る人がいますが、これは最もNGなパターンだと思っていました。
力技で合格できる可能性もありますが、確率は相当低くなると思います。また、いつか合格できるかもしれませんが短期合格は望めません。
上記のような人は一定数いるので、計算問題が得意になると圧倒的に差がつけられるはずです。
計算が苦手だという人は多くいると思いますが、基礎がしっかり理解できているかを分析し、理論の勉強に逃げずに計算も同じように頑張ってみる価値はめちゃくちゃあると思います。
繰り返しになるますが、計算力の強化方法もテキストの読み込みにかかっていると思います。
おまけ
最後におまけとして、私の合格時の成績を載せておきます。受験者数は3,000人以上、合格者が1,300人程度だったので1発合格としては、まずまずではないでしょうか。
私の場合、経営学が苦手で足をひっぱりましたが、その他の科目でカバーできたため合格できました。苦手科目があっても、得意な科目でカバーして短期合格を実現できるのが公認会計士試験の特徴です。
今、受験勉強中でなかなか思うように勉強が進まない人は是非、上記の勉強方法を参考にしてみてください。
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※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。