会計のこと

監査業務に従事する公認会計士の減少傾向について

監査業務に従事する公認会計士の減少傾向について

「ビジョンペーパー2022 日本公認会計士協会の進むべき方向性」

2022年3月9日に、日本公認会計士協会から「ビジョンペーパー2022 日本公認会計士協会の進むべき方向性」が公表されました。

斜め読みですが、気になる点があったので紹介がてら記載してみたいと思います。

まず、ビジョンペーパーですが、こちらを元に2022年からの3カ年計画を策定するとのことで、公認会計士業界の今後の指針としての位置付けと捉えることができます。

「監査業務の魅力向上」

その中で、「公認会計士を取り巻く環境変化への対応 」という章があり、その中でも目を引いたのが「監査業務の魅力向上」という項目です。協会としては監査業務の魅力向上を引き金に多様かつ優秀な人材の確保やフィールドの拡大、といった好循環につなげたい意向ですが、果たしてうまくいくでしょうか。

ビジョンペーパーが示す魅力向上の方策

公認会計士協会が公表する「監査業務の魅力向上」のための施策は以下の通りです(ハイライト部分は当ブログで加筆)。

多くの人材を監査業務に惹きつけ、その人材を監査業務に継続的に維持していくためには、監査業務の魅力を向上させていくことが必要不可欠であると考える。監査業務の魅力を向上させるためには、監査業務が資本市場のインフラとして果たしている役割と社会的意義を公認会計士自身が再認識するとともに、監査の品質の意味を問い直し、より深く質の高い監査を提供することで、監査業務に対する社会的評価を高めることが必要である。公認会計士が監査に携わる際には、法令や基準等に準拠した監査手続を実施するだけではなく、被監査企業や他のステークホルダーにとって真の意味で有用であることが重要である。すなわち、被監査企業の経営を理解し、企業の課題解決に向けた問題意識を経営陣と十分に討議、意思疎通をすることで、信頼感と緊張感を兼ね備えた建設的な関係を構築することが求められる。このような関係構築とその関係性の理解がステークホルダーに広がり、「高品質で信頼の得られる監査」という評価を得ることで、監査業務全体の社会的評価を高めることにつながる。課題解決に貢献しているというやりがいを公認会計士が感じることに加え、監査人が社会により高く評価されることとなることによって監査業務の魅力が高まることになる。

 

それでも監査離れは進んでいる

このような抽象的かつ表層的なことはこれまで散々言われてきたことですが、このようなことで本当に監査業務の魅力は向上するでしょうか?ここ数年の流れを見たら、上場企業にまつわる会計不祥事が多発しており、むしろ監査業務の魅力は低下してきているのは明白で、下記のようにはっきり数値に表れています(会計士の数は増加しているが、監査法人所属者数は減少)。

それでもまだこのような謳い文句を繰り返すばかりでは、今もなお監査業務に従事している公認会計士の多く(特に若手)は協会に失望感や無力感を抱くのではないでしょうか。

具体的に何をすべきなのか

監査業務は締め切りも厳しくクライアントやマネジメントからのプレッシャーも強くあり、独占業務といえどかなりの大きな負担感がある仕事の1つだと思います。それに見合う報酬や勤務体系、ライフワークバランスの改善といった抜本的な見直しが必要であるように思われます。経済原理に見合った施策が必要なのは明らかです。

監査業務の従事者の減少は、監査法人から転職、あるいは独立等といった道を選択した方が、上述したような問題感を解決できるからに他ならない、その前提でこの問題に取り組むべきでしょう。

一朝一夕で解決できる問題ではありませんが、だからこそ公認会計士協会はこのような問題に取り組む姿勢を示すためにも、抽象的かつ表層的な文句ではなく、具体的かつ深層的な文言を打ち出していくべきではないでしょうか。そして、それが監査業務の従事者数の回復に向けた第一歩になるのではないでしょうか。



※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。 



サービスメニュー
【上場企業・大企業向け】
決算支援・決算早期化支援
IPO支援  
内部統制支援
社内研修・研修講師

【中小企業向け】
顧問全般
資金調達支援