念のため断っておきますが、当然私見です。
そして、私自身もともとが公認会計士ですから、答えがどちらになるかは想像がつくかと思います。
であったとしても、これからどちらの資格の勉強をしようか悩んでいる方の参考になればと思い、記しておこうと思った次第です。
公認会計士資格と税理士資格、今とるならどちらを取るべきか?
今なら断然公認会計士資格
私自身が公認会計士資格を取得したから、というのもありますが、今なら断然公認会計士資格の取得がオススメです。
それはなぜか。
私が公認会計士資格をお勧めする理由
公認会計士試験の合格率の高さ
以下のグラフは受験者数(願書提出者数)と合格者数・合格率の推移です。
合格率で見ると、2006~2008年に比べてるとまだまだ低いですが(この時期が異常なのでこの水準まで上がることはもうないと思います)、2011年の6.5%から現在(2018年現在)は11.2%まで回復しています。
受験者数も同程度で2013年頃から同程度で推移しており数字で見て合格しやすい状況というのは続いていますし、今後も同程度の水準で推移していくと思われます。


CPAAOB(公認会計士・監査審査会のホームページの情報をもとに作成)
就職率の高さと失業率の低さの影響
2017年春の大学生の就職率は97.6%と過去最高で6年連続で増加しています。
アベノミクスの効果もあってか、日経平均も上昇しリーマンショック後に比べ大きく景気が回復したことにより、2017年11月には失業率が2.7%と24年ぶりの低水準となりました。
こうした状況から、わざわざ取得するまで長期間かかる資格を取るよりも普通に就職しようというインセンティブは確実に働きます。
それが受験者数が増加しない要因の1つになっていると思います。(*それでも公認会計士資格を取得するメリットは非常にあると思っていますが)
今後ますます労働人口が減っていくことを鑑みれば、資格取得の難易度が高まるという心配はあまりしなくてもいいように思います。
合格までに要する期間
税理士資格取得まで平均7,8年かかるなんていう話も聞きます(時々3年で5科目取得なんていう話も聞きますが)。
公認会計士の場合、平均しても3,4年で取得している人が多い印象です。
早い人なら2年かけずに取得できます。
その期間勉強に専念する必要もありますが、最近だと働きながら取得した、なんていう話も聞いたりしますし、勉強に専念しなければならないのは、公認会計士試験だけでなく税理士試験も同じでしょう。
試験制度の違い
また、税理士試験は1科目ずつ受験できて、公認会計士試験は短答式で4科目、論文式で5科目(財務諸表論と管理会計論を分けて考えたら6科目)を一度に合格する必要がある、というように比べられることもあります。
一度にそんなに勉強できる気がしないから、税理士試験で1科目ずつ勉強していこう、と考える人もいるようですが、これはあまり気にする必要がないと思っています。
なぜなら全科目一度に勉強しているのはあなただけでなく、受験者全員が同じ条件だからです。
たいていの人がその状況に苦しみながらも日々勉強しています。
また、プラスに考えることもできます。
特に論文式では苦手科目が1,2つあっても、他の科目が得意であれば得意科目の点数が苦手科目分をカバーしてくれます。
個々の科目で足切りはありますが、そこまで厳しいものではないため全科目の総合で合否が決まる公認会計士試験はむしろ戦いやすい試験だと思っています。
ちなみに私も経営学を勉強する時間があまりとれず苦手科目としており、だいぶ足を引っ張りましたがその他の科目で挽回できたため無事合格できました。
苦手科目が2科目までなら得意科目で十分挽回できると思います。
公認会計士資格を取得すれば、税理士登録もできる
これはご存知の方も多いと思いますが、公認会計士資格を取得すれば税理士登録もできます。
税理士資格を取得しても公認会計士資格は取得できないので、どちらの仕事もしたい、という方は公認会計士資格の受験をお勧めします。
最後に
公認会計士と税理士のフィールドは似ていますし重複する部分もあります。
が、それぞれ別個の資格ですので、やりたいことが明確に決まっている場合にはその資格を目指して勉強するのが一番です。
制度に囚われすぎると本質を見失いやすくなるでしょう。
なお、公認会計士が税理士登録できることに批判が上がることが多くありましたし、税理士側の立場にたてば、そういいたくなる気持ちもわからなくもありません。
ただ、公認会計士が税理士登録したとしても、これまでの税理士の仕事を奪うような働き方をする会計士はそこまで多くないのではないか、というのが今私が実感として持っている印象です。
これもあくまで私の私見ではありますが。
※なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、いずれの団体等の見解を代表するものではありません。